実例:アスベストが使用されている家の解体工事

スレート屋根

※石綿とアスベストは同じ物です。日本語と英語の違いだけです。

アスベストというと、古い工場や大型店舗、あるいはタワーパーキングなどの壁や天井に使用されている、灰色のモコモコ物体をイメージされる方が多いのではないでしょうか。

いっぽう一般住宅では、アスベストは使われていないように思われるかもしれませんが、案外、一般住宅でもアスベストは使用されているのです。

まずは、アスベストの区分から見てみましょう。
アスベスト取り扱い難易度の高い順から、解体工事ではアスベストを次の3段階に区分しています。

レベル1(吹付材等)

工場・大型店舗・大型施設・タワーパーキングなどの、梁や壁や天井裏などの見られるモコモコの綿状のアスベストです。現場で吹き付けしているアスベストなので、ボロボロになりやすく飛散性が高いことから、扱い難易度も最上位になっています。一般の住宅でレベル1が発見されることは、まずないでしょう。

レベル2(保温材等)

建築物の、梁・壁・天井裏などの耐火材や、ボイラー・配管・空調ダクトの保温材の箇所で発見されることが多いです。現場吹き付けではなく、マットあるいはシート状の製品として出荷され、現場で設置されたアスベストです。こちらも一般の住宅で発見されることは少ないです。

レベル3(成形板等)

耐火性・遮熱性を向上させるための、家屋内の壁材・床材・外壁材・屋根材の箇所で発見されることが多いです。板状あるいは固形状の工場で作られた建材です。一般の住宅で発見されるアスベストは、これらの建材が多いです。

レベルによって、作業に必要となる資格も異なります。 またアスベストの取り扱い難易度に比例して、除去コストも高くなります。

アスベストみなし判定で、調査前に解体工事を始めることができます

解体工事の目的によっては、「早く見積りが欲しい」「早く解体計画を立てたい」など様々な課題が考えられます。

アスベストの事前調査や分析調査などを行うとなれば、その結果が出るまで相当な日数が必要になるので「早く」の課題が解消されないことも考えられます。

アスベストの調査資格を持っている者に限定されますが、みなし判定を行うことによって、アスベストの調査を行う前に、解体工事を開始することが可能になります。

調査にかかる手間や日数と、トータル的な解体工事の目的を比較して、最適な解体工事のスケジュールを選択いただければと思います。

はじめてのお客様、アスベストが全くわからないお客様でも大丈夫です。

実例1:木造の解体工事アスベスト調査から撤去までの流れ

一つ目に紹介させていただく現場は、木造家屋の解体工事で、屋根材にスレート材が使われていました。

解体工事の事前調査で、屋根に古いスレートの使用が確認される建物は、高い確率でアスベストが含まれています。

スレートアスベストは、工場で作られた固形建材の成分として含有されていますので、建材を砕いたり、削ったりしなければアスベストは飛散しません。

今回のアスベスト含有スレート屋根材は、「レベル3:成形板」に属する非飛散性のもので、比較的アスベストの中でも、飛散性や有害度は低いとされています。

今回の木造家屋解体工事では、アスベスト調査から撤去処分までは次のような流れでした。

Step1.アスベスト調査

スレート材に、アスベストが含まれている可能性が「有るか」「無いか」のみなし判定をする。アスベストのみなし判定は、一般建築物石綿含有建材(アスベスト)調査者の資格所有者が行います。

Step2.アスベストみなし作業

解体工事前の段階で、屋根に上り調査をすることは困難なためサンプル採取はせずに、アスベストは含有しているとみなして作業を進めます。

Step3.スレート屋根材サンプル採取

解体工事が始まり屋根に上がれるようになったので、屋根材の一部を検体として剥がして、顕微鏡やX線などで検査を行います。

今回のスレート屋根材は、検査の結果アスベストが検出されました。この検査は、解体工事現場では実施できないので、公認検査場で行います。アスベスト判定結果が出るまでに3日くらいかかります。

Step4.アスベストスレート屋根材撤去

スレート屋根材が粉々にならないように、手作業で一枚一枚外します。

飛散を防ぐために、スレート材は最小限の破壊にとどめ、その他の廃材と混ざらないようスレート材専用の大きな繊維状の処分袋を二重にして梱包します。

ダンプに積み込み現場から出すときには、アスベストが飛散しないように荷台にはシートをかけ搬出します。

この一連の作業は、石綿(アスベスト)作業主任者の資格と、石綿取扱作業従事者と、2つの有資格者の組み合わせで行います。

実例2:LS造(軽量鉄骨)の解体工事アスベスト調査から撤去までの流れ

もう一つのアスベスト解体工事を紹介します。こちらの建物は、LS造(軽量鉄骨)の解体工事となります。LSとは、 Light Steel の略で、レクサスではありません。笑

こちらのLS造(軽量鉄骨)解体工事では、アスベスト調査から撤去処分までは次のような流れでした。

Step1.アスベスト書類調査

新築時の設計図書や仕様書などの資料は残っていました。しかし、使用材料の詳細については書かれていません。したがって書類調査ではアスベストの含有判定はできませんでした。

Step2.サンプリング検査

書類でアスベストの含有判定は出来なかったので、壁材の一部を検体として剥がして、顕微鏡やX線などで検査を行うこととなります。その結果、アスベストが検出されました。この検査は、解体工事現場で実施できる検査でなく公認検査場で行いますので、数日かかることがあります。

Step3.検査の結果アスベスト含有物として作業を進めます。

サイディング壁材の解体工事は、石綿(アスベスト)作業主任者と、石綿取扱作業従事者によって作業をします。

スレートやサイディングは、飛散を防ぐため4面を足場養生シートで囲い手作業で除去作業を進めます。レベル3のアスベストであっても、モルタルの場合は破壊すると粉塵の飛散が著しく、専用の液体を使用し溶かして除去を行うこともあります。

サイディングやスレート板などは、アスベストレベル3の位置付けで、アスベストの中でも危険度が比較的低いとされておりますが、安易に機械で壊したり、不注意で高所から落として粉々になると、本来の成型品だったものが割れて粉末状になることにより、飛散性が高くなってしまいます。

特に、解体工事の対象となるアスベスト材は、築20年以上経過していていることが多く、劣化により崩れやすくなっていますので油断して取り扱うことは禁物です。

アスベストの飛散を防ぐために、石綿含有建材の解体工事を行う際は、手作業で解体し、なおかつ、十分に散水してアスベストを湿らせて、さらに処分用の袋に二重梱包をするなどして、飛散を防ぐ工法を選択しております。

粉砕後のサイディング壁材

アスベストに関してご不明な点があれば早めのご相談をお勧めします

大気汚染の問題が注目されているため、アスベストの取り扱いルールも厳格に定められるようになりました。そして、今ある多くの建物がアスベスト調査対象となっていて、調査無しで解体工事に着手できる建物は少なくなってまいりました。

多くの建物がアスベスト調査の対象になっていますが、結果的にアスベストが検出される建物は、それほど多くはないです。

アスベストがあるのか?ないのか?のモヤモヤが解消されれば、明確な解体工事計画にもつながると思います。新しいルールなので、過剰に反応してしまい、必要以上に心配されたものの、調査の結果、「アスベストの検出は無し」と判定し、取り越し苦労で終わるケースもあったりします。

スムーズな解体工事計画のためにも、解体案件が発生した際は、日程にゆとりをもって、お早めにご連絡いただくことをお勧めします。

弊社では、一般建築物石綿含有建材(アスベスト)調査資格者が常駐しており、事前調査にも迅速に対応しています。アスベストみなし判定などを含め、最適なアスベスト対策の提案をさせて頂いております。

手間暇をかける調査や作業は、見方によっては非効率な処分方法に見えてしまうかもしれませんが、適正な処分方法としての作業になりますので、どうかご理解いただきたく存じます。

住みやすい街づくりのために、安全な作業方法、対策を考え、解体工事を進めてまいります。

TOPに戻る>>